娘を「忘れた」父親ー親が認知症になったらどうするか

私は父に、もう2年以上…いや、3年近く会っていない。それは会いたくないわけではなく、父と私たち家族に訪れた現実を、私だけがうまく受け入れられていないからだ。父はきっと、私のことを忘れているだろう。

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私と、父という存在

 父に訪れた認知症という病気

私の父は、現在67歳。私は父が38歳のときに生まれた子である。父は、数年前に認知症を発症した。アルツハイマー型認知症である。年齢としては若いかもしれない。私も家族も、もちろんそう思った。看護師である私や、療養型病棟でヘルパーとして働いている母は、職場で恒例の認知症患者を目にしていたから余計に、だ。

けれど、父の性格やリタイア後の生活を振り返ってみれば、認知症になってもおかしくはなかった。これといって趣味のない父。退職後に仕事を探したがなかなか見つからず、毎日小説を読み、母の仕事の送り迎えをするだけの毎日。積極的に家事をするわけでもなく、なにか趣味を見つけようとするわけでもなく、単調な毎日を過ごしていた。

何の刺激もない毎日。60を超えた頭とからだが衰えていくのは時間の問題だったように思う。

 

少しずつ訪れていた病

実は、治療を始める前から少しずつ病の兆候は現れていた。私が夫と結婚する前。今から3年半ほど前。夫を紹介するために福岡の実家に帰ったときのことだ。

会話は普通にできていたし、まったくおかしいと感じるところはなかった。だけど、横須賀に帰る日、空港まで車で送ってくれた父の様子は少しおかしかった。慣れているはずの空港までの道のりが、わからなくなったのだ。当時、まだ抗うつ剤を飲んでいた私は、少しうとうとしていてすぐに事の重大さに気付くことができなかった。帰宅してから、おかしかったよな?と思い返したのだから、ずいぶんな話だと思う。

後になって聞いてみると、母もこのころから少しおかしいと感じていたようだ。このとき早く受診していれば、勧めていればと今でも悔やまれる。

 

未だ、受け止め方がわからない

私は実家にここ2年ほど帰っていない。そして前回帰ったとき、父とは会っていない。母が私が帰ってくる間だけ、ショートステイに預けていたからだ。会いたくなかったわけじゃない。行こうかとも思ったけど、毎日気を遣っている家族が、今は少しほっとしているのかな、と思ったら、行きたいとなんとなく言えなかったのだ。

行こうと思えば、行けたはず。でも、そうできなかったのは、私が心のどこかでまだ、受け入れきれずにいるからだと思う。

今でもふと、思い出す。

私の戴帽式(看護学生がナースキャップをもらう式典)に来て、私が看護師になることがうれしいんだと、泊まっているホテルでビールを飲みながら語っていた姿。私の初めてのナース姿を撮ろうと、苦手なケータイの写メの使い方を覚えてきていたこと。

お互い頑固で妹とはソリが合わず、あまりコミュニケーションが取れていたかった父。「あの子は何を考えとるかわからん」と、つぶやいていた声。私が家にいたら、橋渡しができたかな。

夫を連れて行ったとき、地元の海で一緒に釣りを楽しんでいた姿。背中が小さくなったな、なんて思ったっけ。

 

ほんとうに頑固で、短気で、難しい性格だったけど、ちゃんと家族のことを考えていたのは知っている。直接今の姿を知らない分、私だけ消化不良を起こしているのだ。

 

 

これからどう向き合うか

ずっと会っていなくて、病状も進んでいるから、私のことは忘れているだろうし、思い出してもらえると期待はしていない。わかってくれたらラッキー、くらいの意識だ。

これからの私の課題は、そんな家族とどう向き合っていくか。離れて暮らしている分、直接手を貸すことは難しい。ほかに何かできることはないか、そして毎日向き合っている家族、特に母のケアはできないか。まずはこまめに連絡をとることと、今年はきちんと会いに行きたいと思う。もちろん、父にも。

たまたま私の父は早くに発症したけれど、母だって、義理の両親だって、いつかそうなるかもしれない。義理の両親は近くにいる分、もっと濃密に付き合わなければいけない。私ももうすぐ30歳。そうやって家族の「老い」と向き合わなければならない年齢になったのだ。

 

 

まとめ

こんなことを突然書いたきっかけは、立花岳志@ttachiさんの昨日の記事を読んだこと。
愛する家族が 余命48時間 と宣告された時に僕が決めたこと、したこと|No Second Life
職業として人の旅立ちは見届けてきたけど、近い人の死に遭遇したことはまだない。だから、今からきちんと考えていきたい。これ以上、後悔しないために。

 

 

今日のおまけ

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季節外れだけど、真夏に撮った横須賀美術館の前の景色。考えなきゃいけないことは山ほどあるけど、この景色の青色みたいにすがすがしく生きていきたいと思います。

家族

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この記事を書いた人

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当ブログの管理人:小松亜矢子です。

フリーライター/元ナース/元うつ病患者。福岡県出身、横須賀市在住。

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